ワット・ナープラメーン アユタヤー
サワディーカ。
@yayoiです。
アユタヤーというと、古都で
日帰りのアテンドにもピッタリの
” 遺跡がたくさんある観光地 ”という
印象が強いかもしれません。
私も初めはそう思っていましたが、お寺が好きになり
何度か足を運ぶうちに、ちょっと見方が変わりました。
アユタヤーのお寺はすべてワット(お寺)と
呼ばれていますが、
大きく3つに分けることができるかと思います。
1つは一般的にアユタヤー遺跡と呼ぶようなお寺。
掃除などの管理はされていますが、お寺跡であったり
僧侶がいらっしゃらないため廃寺となっているお寺。
もう1つは修復され僧侶もいて、タイ人もタンブンに
訪れるいわゆる一般的なタイの寺院というべき
現存のお寺。
残る1つはアユタヤー時代からのお堂や仏塔の一部を
残しつつ(遺跡)、一部は修復もされていて
僧侶がいて人がタンブンにも訪れる、
遺跡と現存寺院の両方を混在したお寺。
今回の記事のワット・ナープラメーンはその最後の
混在型であるかと思います。
このお寺はビルマとの戦争が続いたアユタヤーで唯一、
ビルマの破壊を逃れた貴重なお寺で、
かなり見所が多いお寺でもあります。
そしてこのお寺がもつ歴史的な意味は、
1563年にビルマのバインナウン王との間に
休戦協定を結んだ館をこのお寺と
ワット・ハッサダーワートの間に建てたことです。
道路の曲がり角にあるお寺の三門です。
- お寺の名前の意味は王室火葬場前!
- 破風に特徴のある御本堂!
- 御本尊は飾りをつけた美しい大仏!
- 椅子に座った濃緑色のブッダ!
- 古い仏像を祀ったお堂があと3つも!
- ハイライトは遺跡群?菩提樹と同化した仏塔!
- < ワット・ナープラメーン >
お寺の名前の意味は王室火葬場前!
ワット・ナープラメーンは、
アユタヤー11代目の王であるラーマティボディーⅡが
1504年古い王宮の反対側に建てたお寺で、
その時はワット・プラメーンラーチカラーム
(วัดพระเมรุราชิการาม)と命名されたそうです。
いつのころから今のワット・ナープラメーンと
呼ばれているのかはあまり資料がありませんが、
プラメーン(พระเมรุ)とは須弥山(シュミセン)。
須弥山とは仏教の宇宙観で、宇宙の中心をなす山。
サンスクリット語ではSumeru またはMeruだそうで、
タイでは“国王の葬儀場”を意味する言葉です。
ナー(หน้า)は、前という意味なので、
アユタヤーの初めのころに王の火葬を捧げたりした
王室火葬場前ということです。
アユタヤー34代目の王であるボーロマコート王の
時代からいくつもの時代、修復されてきたようです。
KingRamaⅢの時代には2回、KingRamaⅣの時代にも
それぞれ修復されてきたようで私が訪れた
2019年9月にも、御本堂には大きく足場が
組まれていました。
実はこのお寺は特徴を持つブッダがたくさん
祀られていて、私も大変好きなお寺で
今までに4~5回は訪れています。
今回の記事は2019年9月、2020年2月に
訪れた時に撮った写真をメインにして
過去に撮った写真を混ぜて載せています。
必要な時だけ撮影日をいれています。
破風に特徴のある御本堂!
まずは御本堂から参拝したいと思います。
前回、修復中だったので2020年2月に
行った時に撮ったものです。
この御本堂の特徴の一つは、破風の部分で
ヴィシュヌ神がガルーダにまたがり
ナーガ(ヘビの神様)をつかんでいるお姿。
まわりには26の合掌する天人。
ここだけは当時のまま残っているものです。
御本堂の周りの結界。
現在は正面にはお線香をお供えする場所が
ありますが、2011年8月に訪れた時には
まだサーラ―(あずまや)はありませんでした。
入口の扉が3つ見えます。
2011年8月撮影
中央の扉は位の高い方のための扉で、ここには
仏像が祀られています。
お堂の中からこの部分を撮りました。
その下には曜日ごとの仏像が祀られています。
入口から入ってすぐに撮ったお堂の全体ですが…
八角形の柱が太くて全体が見渡せません。
この柱がお堂の中にある造り、またハスの花の頭を
菱形模様にした柱の模様、ハスの花をあしらった飾り…
これらはアユタヤー初期の寺院建築様式だそうです。
お堂はその後外のひさしの部分に柱を追加することで
お堂を広げたようです。
そこでちょっと移動して撮ったお堂全体の様子です。
御本尊は飾りをつけた美しい大仏!
特徴のあるブッダ 1
御本尊はシーサンペット・ボロム・
トライローカナート王仏と呼ばれる
高さ5mの金色の大仏です。
27代王のプラサートトーン王の時に
大きく修復されました。
衣がないと施された飾りがわかりやすい。
飾りを施したお姿はブッダになる前の王子。
ブッダになる前の修行中の菩薩を
表しているのではないかともいわれています。
これは2020年2月に撮りました。
ブッダに近寄って斜めから撮りました。
真横から撮りました。
美しい後ろ姿です。
金色の大仏と、前に祀られている2躰の仏像の間には
石碑などもありました。
大仏の前に祀られているブッダです。
向かって右側のブッダは椅子に座っているような
珍しいお姿です。
椅子に座った濃緑色のブッダ!
特徴のあるブッダ 2
御本堂をでて、右手側に進むと
小さな小さなお堂があります。
本堂と比べるとかなり小さいことがわかります。
やはり前にサーラ―があり
そこでお線香をお供えします。
お堂の入り口です。
敷居をまたぐとすぐに降りる
階段のステップがあります。
気をつけて!
ブッダとの距離が嬉しい近さです。
お座りになったブッダがいらっしゃいました。
両手とも膝の上に置いているのはタイでは
珍しいお姿。
斜めの角度から撮りました。
この石に掘られたブッダは
ドヴァラヴァティー様式の仏像で
1500年くらい前のもの。
ナコーンパトムのプラメーン寺院から
招来されたといわれます。
タイの歴史はスコータイ王国が
最初のタイ人による王国としているため
スコータイ時代から始まりますが、
現在のタイの領域で最初に現れた大国は
モン族のドヴァラヴァティーでその中心が
ナコーンパトムであったとする説が一般的
だとされています。
このお堂は、KingRamaⅢの時代に建てられた
お堂だそうで、壁画もKingRamaⅢが描かせたもの。
前回、私が書いた記事、ワット・ヤーンナーワーの
古い御本堂の壁画もKingRamaⅢの時代の
ものでしたね。
扉の文様は唐草模様に西洋の植物が混ざった
模様だそうです。
いつ見ても美しいブッダです。
古い仏像を祀ったお堂があと3つも!
特徴のあるブッダ 3
このドヴァラヴァティーの仏像を祀ったお堂の
裏手には他にも古い仏像を祀ったお堂や
サーラ―が3か所もあります。
800年以上の遊行仏のお堂。
お堂の全景です。
その仏像ですが、修復されていました。
もとの仏像の写真は残っている以前の案内表示の写真
になりますが、ちょっと別物になったようです。
特徴のあるブッダ 4
700年以上のチェンセーン仏。
500年以上の白いブッダ。
白いブッダはサーラ―(あずまや)の中に。
とても端正なお顔立ちの仏像で人が
あとからあとから手をあわせにきます。
このお堂の裏には外に白いブッダが祀られ、
ヒンドゥー教のブラフマーの祠もあります。
特徴のあるブッダ 4
そこを超えてさらに奥の方にひっそりとした
お堂があります。
わずかな距離ですが、何匹も犬がいたりして
ちょっと怖かったです。
こちらが700年以上のチェンセーン仏。
ガラスケースに入り口からの光が
反射してしまい、きれいに撮れませんが、
目元の雰囲気がタイではあまり見たことのない
お顔立ちをしています。
ハイライトは遺跡群?菩提樹と同化した仏塔!
仏像にお詣りしたあとは、遺跡を観察してみます。
御本堂の裏にはかなり破壊されてしまっている
プラーンというとうもろこし型の仏塔跡があります。
そして、先ほどの白いブッダのサーラ―の横には
小さな仏塔が3基。
1番奥の仏塔は比較的きれいに残っています。
中央の仏塔もきれいです。
手前の仏塔が木と同化しています。
菩提樹の木です。
この木を逆側から撮った写真です。
木に巻かれたオレンジの布のちょっと上。
写真の中央あたりをよく見ると...
木に隠れた仏頭が!
ズームして撮りました。
同じ木を2011年の8月に撮影したものです。
仏頭がどんどん木の中に埋もれて行っています。
2011年8月撮影
2020年2月撮影
この仏頭について調べてみましたが
タイ語検索でも出てきませんでした。
どんないわれがあるのか…本当に仏頭なのか…
しかし、この案内板を見る限りでは仏頭です。
仏頭が埋もれないかの観察に
定期的にパトロールが必要かも...?
仏塔から離れたところで
最後にふり返って撮りました。
仏塔の方から御本堂を左手に見ながら入り口の方に
出てくる途中にこんなところが。
このブッダも菩薩の様なお姿。
入口から御本堂の前は広場の様に
なっていて、そこには祠や菩提樹があります。
仏像が祀られた祠。
そして、最も入り口に近いこちらは
モンドップ。もともとは
ヒンドゥー教建築スタイルの前堂。
仏像が祀られていました。
菩提樹を最後に今回の参拝は終わりです。
車が出入りする時の入り口で、ここを入ると
正面に菩提樹が見え、右側が御本堂です。
< ワット・ナープラメーン >
正式名称 วัดหน้าพระเมรุ
ワット・ナープラメーン
タイ王室寺院第三級に格付けされています。
所在地
今回の記事は、
『アユタヤ 日本語版』(タイ国トヨタ財団 及び
人文社会科学教科書振興財団 発行出版)
ウェブサイト thailandtourismdirectory.go.th
dhammathai.org
等々、参考に書きました。
お読みいただきありがとうございました。
@yayoi