タイのお寺に魅せられて  ~タイ百寺巡礼ログ+アジアのお寺~

タイのお寺が好きな@yayoiです。アジア駐在歴通算16年目。タイで大きく人生が変わりました。タイを起点にアジアのお寺や仏像を研究中!

タイのお寺の “ お堂 ” に注目してみる!

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タイの寺院建築研究 Ⅴ

サワディーカー。

@yayoiです。

 

今回のタイの寺院建築研究は “ お堂 ” に

ついて注目してみたいと思います。

今回のタイの寺院建築研究シリーズは、

お寺の名称、お寺の伽藍、お寺の門、

サーラーに続いて第5回目となります。

  

お寺の敷地内にあるお堂。

お堂1つのお寺もあれば、大きな敷地内に

2つ、3つあるお寺もあります。

一見すると同じようなお堂に見えますが、

各々、違う名称や役割があります。

 

お堂にみえるものには 

前回のサーラーや大講堂以外に

次の4つがあります。

 

モンドップ

プラサート

ウィハーン

ウボーソット

 

 

 

  

มณฑป(モンドップ)

 

モンドップとは…

簡約タイ語辞典で調べると

寺院、仏堂、先の尖った方形の屋根

と出てきます。

 

これは王室寺院のみに見られるもので、

四角い平面の上に角錐体に建てられ

屋根の形は尖塔型であるのが特徴です。

 

仏足石や儀式用具などを収蔵するための

建物で、バンコク時代に入ってからの

大きなモンドップは木造で、柱、壁共に

彫刻やガラスモザイク、金箔、陶磁器などで

飾られています。

しかし残念ながらほとんど見かけません。

そして人が入れないようになっています。

 

ワット・ポーのモンドップです。

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ワット・アルンのモンドップです。

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下の写真は、もう15年以上タイにお住いの方なら

ご覧になったことがあると思うのですが、

まだスマホが誕生する前、タイでは携帯電話の料金

チャージをこのようなカードを買って、

番号を入力してチャージするシステムがありました。

それに絵や写真が印刷されていて、このワット・

アルンのモンドップも印刷されていました。

写真が好きで私が何気にとっておいた物です。

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サラブリー県のワット・プラプッタバートの

仏足石が安置されているモンドップです。 

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ปราสาท(プラーサート)

 

プラーサートとは…

簡約タイ語辞典で調べると

宮殿、御殿、宮廷と出てきます。

 

クメール様式の神殿を起源とした十字型の

建物で、十字型の中心の屋根部分に尖塔が

設置されています。

 

王宮では、宮殿として、または宮廷儀式などに

使われているようですが、

お寺ではプラーサートという名称の建物を

見たことがありません。

 

しかしここで取り上げた理由は、今回の記事を

書くのに参考にした書籍

『タイ文化ハンドブック』の中に、

プラーサートとは王室寺院のみに建てられる

儀式殿ともいえる建物ということで、

寺院建築の項目の中に含まれていること。

プラーサートの名称ではなくても、

この形の建物をウボーソットや

ウィハーンとして建てているお寺が

多いからです。

 

プラーサート型のワット・トゥンセティーの

ウボーソットです。

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วิหาร(ウィハーン)

 

ウィハーンとは…

簡約タイ語辞典で調べると

寺、寺院、仏殿、仏堂、僧院、精舎

と出てきます。

 

タイの寺院内では一般的に仏殿のことを

ウィハーンと呼び、一般信者の礼拝や

集会に使用され、仏像が安置されている

お堂のことをいいます。

どこのお寺にもだいたいあり、

東向きに建てられています。

 

ワット・パトゥムワナラームの

ウィハーンです。

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プラーサート型のウィハーンも見たことが

あります。

ワット・サパーンルアック(ジャンタブリー県)の

ウィハーンです。

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อุโบสถ(ウボーソット)

 

ウボーソットとは…

簡約タイ語辞典で調べると

本堂、仏堂といったお堂を表す言葉のほかに

僧に対する半月ごとの戒律誦経

という意味もあります。

 

ウボーソットのほかの同じような呼称は

プラ・ウボーソット(พระอุโบสถ)が

あります。

これは主に王室寺院の仏堂を表します。

ほかには仏教寺院やキリスト教寺院や

礼拝堂を表す言葉として、

ボート(โบสถ)という言葉もあります。

 

このウボーソットとは、僧のための礼拝堂

であり、得度式を行うためのお堂でもあり、

寺院内で最も大切な場所です。

 

東向きに建てられていて、西側の窓や

出入口は仏像の後ろ側にあります。

ワット・ボウォン二ウェートや

ワット・スタットなど北向きに

建てられているお寺もあります。

 

形は四角形が一般的です。

ワット・パトゥムワナラームの

ウボーソットです。

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T字型のウボーソットもあります。

ワット・ボウォン二ウェートの

ウボーソットです。

正面から撮りました。

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正面向かって左側です。

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向かって右側です。

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十字型のウボーソットもあります。

ワット・ベンチャマポピットの

ウボーソットです。

正面から撮りました。

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向かって右側です。

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向かって左側です。

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お堂の後ろ側です。

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そして、先ほどのプラーサ―ト型の

ウボーソットといえば、他には下記のような

ところがあります。

 

ワット・カチョンシリ

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ワット・サムパンタウォン

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ワット・シリサオトン

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タイのウボーソットには、

下記のような特徴があります。

 

御本尊を安置する。

227の戒律を唱えて瞑想する。

得度式や儀式をする。

周囲には8つの結界が置かれている。

 

ということで、外見から判断する

ウィハーンとウボーソットの違いは

結界の有無です。

 

下の写真はワット・マハープルッタラームの

ウィハーンとウボーソットです。

仏塔をはさんで左右にほとんど同じような

造りの建物が並んでいますが、

向かって仏塔の右側にあるお堂が

結界のないウィハーン。

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向かって仏塔の左側にあるお堂が

結界(金色の部分)があるウボーソットです。

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そして、ウボーソットを布薩堂と訳しているのを

本でみて、岩波仏教辞典で調べてみると辞典には

布薩堂という言葉はありません。

おそらく日本の寺院では布薩堂とはいわず、

御本堂と呼ぶのが一般的だからだと

思われます。

 

代わりにあるのが

 ”布薩(ふさつ)”という言葉。

これはサンスクリット語のupavasa

パーリ語のuposathaなどに相当する音写で、

ウボーソットという言葉も同じ語源だと

思います。

 

これは、半月に1度、定められた地域(結界)

にいる僧達が戒律を誦して自省する集会

という意味があります。

 

このように辞書で言葉の意味を見比べながら

考えてみると、タイのウボーソットには

結界が設置されていて、

227の戒律を唱えて瞑想するという特徴も

あるので、タイではウボーソットは、

御本堂というより布薩のためのお堂(布薩堂)

と呼ぶ方がふさわしいかもしれません。

 

ウボーソットは通常は閉めている

お寺が結構あります。

 

開けるのは得度式の時だけであるとか、

仏教の祝日(ワンプラวันพระ)の日の夕方だけ、

毎日開けるけれど朝晩の誦経のときだけ…

などなど、お寺によって決まりごとが

違うようです。

 

以前、いらっしゃった僧侶に伺ったところ、

動物が入り込まないように閉めていると

聞いたことがあります。

確かにお寺によってはハトの被害をよく

見かけます。

そして最近はCovidの影響や盗難の被害のために

閉めているという話もききます。

 

お寺に行って、ウボーソットが閉まっている

時には、私は僧侶や係員の方などを

お見かけした際、思いきってお堂はいつ

開いているか聞いてみることもあります。

 

そうすると、たまに鍵を持ってきて開けて

下さったこともありますし、

得度式以外は開けないと申し訳なさそうに

お話になる僧侶の方もいらっしゃいました。

 

私にとって、曜日や時間帯を変えて

4回行ったけれど、いまだにウボーソットを

参拝できていないお寺もあります。

そういう時は、私はまだまだ修行が足りないから

入れない~と思うことにして、行ける範囲で

あれば何度も伺うようにしています。

 

 

このブログ内での呼称と私の思い

 

最後になりましたが、今回、お堂について

辞書や書籍を参考に書き進めながら、

改めてこのブログ内での呼称を決めることに

しました。

次回42番のお寺から適用しようと思います。

 

寺院内の地図や建物についている名称が

モンドップ(มณฑป)の場合は、

モンドップ(仏堂)または仏堂と致します。

 

ウィハーン(วิหาร)の場合は、

私は今までは礼拝堂としていましたが、

仏教のお寺の場合は、

これからはウィハーン(仏殿)

または仏殿と致します。

仏教以外のお寺や神社などでこの

タイ語名称がついている場合は

お堂と致します。

 

ウボーソット(อุโบสถ)の場合は、

岩波仏教辞典に布薩堂という言葉が

ないのですが、これからは

ウボーソット(布薩堂)または

布薩堂と致します。

 

そして、これは私のこだわりのようなもの

でしたが...

結界があるお堂=御本堂と考えていたので、

そこが開いていない場合

つまり御本尊にごあいさつできないと

そのお寺を参拝した気がしませんでした。

 

思いきってその思いをいつも一緒に

お寺巡りしている友人(二人で月に1度、

自称「二人お寺同好会」を実施しております)

にも話したところ、友人も同じ思いでした。

 

ところがタイの寺院内では、

結界があるお堂=布薩堂。

ここは、一般の信者のためのお堂というより、

僧侶や出家してきた僧侶のためのお堂という

意味合いが強く、得度式の時にだけ開けると

いうお寺も多いこと。

 

それとお寺によっては御本尊を1つとは

限っていないことがあること。

例えば、以前記事を書いた

ワット・パトゥムワナーラームですが、

記事を書くときに参考にしたお寺でいただいた

パンフレットには、ウィハーンの御本尊、

ウボーソットの御本尊という記載が各々あり、

私はひそかに御本尊って1つではないのか...

という疑問がわきました。

www.yayoi-thainootera.net

 

ウィハーンとウィハーンの御本尊

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ウボーソットとウボーソットの御本尊

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これらのことは、お寺にとっては

こだわることではないのかもしれません。

御本堂を参拝できないと

訪れても参拝した気がしない…

御本尊を拝見したい…

御本堂を見ずに記事を書くのには抵抗がある…

私にはこんな思いがありましたが

これらの思いはみんな私の煩悩の1つ。

 

それなら手放して、これからはお堂が

開いていなくても、お寺そのものに

参拝に訪れることができたことだけに感謝し、

これからもタイのお寺を歩き続け、

御本尊に手をあわせていないお寺についても

綴っていこうということにしました。

 

このブログでは読んでくださった方が

タイのお寺をただ歩いているというだけの

気分になっていただけるといいな…と

思いながら書いているので、私の思いや

主観を極力いれずに書くようにしていますが、

今回はちょっとだけ、私の思いも書きました。

 

お読みいただきありがとうございました。

@yayoi

 

今回の記事は、

書籍『タイ文化ハンドブック』

『สารานุกรมไทยสำหร้บเยาวชน

    เล่ม 19 วัดไทย』などを

参考にして書きました。