タイの寺院お庭研究Ⅵ
サワディーカー。
Luna(流転那)です。
タイまたは仏教に関連のあるお庭やタイの樹木を
散歩しながら研究するシリーズの
6回目の続きです。
前回は釈尊の誕生から
初めての瞑想までを眺めました。
結婚、出家を経て求道へ
釈迦族の王子として誕生した釈尊は
成長し、結婚し、
息子であるラーフラをもうけました。
釈迦族の王位継承者として
シュッドーダナ王から大いなる愛情を
注がれ、世俗の荒波からは遠ざかった
生活をしていました。
『しかし、ある日城外に散策に出かけた際に
老人、病人、死者、出家修行者を目のあたりに
します。これがその後の釈尊を大きく変える
四門出遊です。』
『そして、愛馬カンタカに乗り
出家し、剃髪します。』
求道への道のりを歩き始めた釈尊
故郷である釈迦族の地を後にして
釈尊はヴァイシャーリーにて、
仙人の下で修行を始めます。
その後、場所を変えながら、
ウルヴェラーにて、
6年とも7年とも言われる苦行生活に
入ります。
出家前の快楽的な世俗の生活と、
この厳しい苦行との二つの両極を知って、
それらを捨て去ることにして、
釈尊は苦行生活を終えます。
「苦行を放棄した釈尊は村の娘スジャータから
乳粥の供養を受けて体力を回復させ、
悟りに向ってふみだします。」
スジャータは出来上がった乳粥を木の精霊に
捧げようとして、バンヤン樹の下に座っていた
釈尊を精霊と間違えて、乳粥を差し出したと
言われています。
バンヤン樹・アジャパーラ樹・ニグローダ樹
学名 Ficus benghalensis クワ科
和名 ベンガルボダイジュ
英名 Banyan Tree
タイ名 ไทรนิโครธ(サイ・ニコラトー)
*アジャパーラというのは、木についていた
名前という説もあります。
バンヤン樹はクワ科イチジク属の樹木のうち、
枝から気根をたらし、奇妙な樹形になるものを
いうそうです。
*この気根(きこん)という言葉の意味が
よくわからなかったので、調べて見ると
植物の地表に出ている茎あるいは幹から出て、
空気中に現れている根、幹の一部とありました。
同時に仏語の意味もあり、すべての人に備わる、
教えを受けて発動する能力・資質、根機、
機という意味もあるそうです。
上の絵でも、釈尊が座っている上に描かれた
木は、枝から気根をたらしたような
形に描かれているので、このバンヤン樹に
見えます。
ワット・ホンを参拝した時にみかけた
この木はバニヤンの木だと思います。
寺院内ではありませんが、
以前宿泊したパタヤの隣の
ジョームティエンビーチにある
ホテルの庭にあった大きな
バニヤンの木です。
このホテルについて
私が書いた記事です。
ここで、Banyan(บันยัน)についてですが、
広義では、ベンガルボダイジュに限らず、
ガジュマルなど他のイチジク属の
樹木も含み、学名からベンガレンシスと
呼ばれることもあるそうです。
タイ名では、ไทร(サイ)がつく木に
該当しますが、サイがつく木も
いくつかの種類があります。
ไทร(サイ)または
ไทรย้อยใบแหลม(サイヨイバイレーム)
学名 Ficus benjamina クワ科
和名 ガジュマル、シダレガジュマル ベンジャミンゴムノキ
英名 Java willow、Java fig tree
*東北地方のピマーイにあるサイガーム(ไทรงาม)が
有名だそうです。ガームは美しいという意味です。
寺院内で撮った写真ではないのですが、
サイの木は、マハナコンビルの
敷地内にあります。
以前、私が書いたマハナコンビル周辺の
合掌スポットについての記事です。
ไทรย้อยใบทู่(サイヨイバイトゥー)
学名 Ficus macrocarpa クワ科イチジク属
これもガジュマルです。
私が撮った写真はありませんが、
こちらのウェブサイト内に写真がありました。
https://www.wattano.ac.th/wattano/web_saunpluak/My%20Hip/113.html
そして、今回の乳粥の木、ベンガルボダイジュは、
ไทรนิโครธ(サイ・ニコラトー)でした。
前編3に続きます。
お読みいただきありがとうございました。
Luna(流転那)