タイのお寺に魅せられて  ~タイ百寺巡礼ログ~

タイのお寺が好きなLuna(流転那)(旧@yayoi)です。タイで大きく人生が変わりました。タイを起点にアジアのお寺や仏像を研究中!

タイのお寺の “ 入れない区域 ”に注目してみる!(前編)

タイの寺院建築研究 Ⅸ

サワディーカー。

@yayoiです。

 

今回のタイの寺院建築研究は

“ お寺の中の入れない区域 ” つまり

“ 一般の人は足を踏み入れない場所 ”

について注目しております。

 

今回のタイの寺院建築研究シリーズは、

お寺の名称、お寺の伽藍、お寺の門、

サーラー、お堂、結界、回廊、仏塔に続いて

第9回目で、このシリーズの最終回になります。

その前編です。

 

第2回でタイのお寺の伽藍(寺院の主要建築群)

について書きましたが、そこで列挙したのは、

一般の参拝者が参拝するために入ったり、

通ることが許されている場所を取り上げました。

www.yayoi-thainootera.net

 

とはいうものの、お寺によって習慣や決め事が

違うのは当たり前です。

朝晩の読経の時や出家の儀式のときだけに

開放するお堂や布薩堂があったり、

モンドップや仏塔などは全く開いていないなど

お寺によって違いはたくさんあります。

また、北の方などで、女性は入室禁止という

お堂があるお寺もあります。

 

寺院の敷地内には他にも建物がある訳で、

そこは基本的には僧侶や管理者のみが

出入りする場所として、一般の人は基本的に立ち入りを

許さない場所もあります。

そこで今回はそれらの建物を外から眺めていこうと

思います。

 

 

 

 

タイの寺院には何がある…?!

 

第2回でも投げかけたこの質問ですが、

まずは、参拝者が出入りしたり通る場所です。

左上から時計回りに

門、仏塔、菩提樹、回廊、サーラーです。

 

次も、左上から時計回りに

布薩堂、モンドップ、大講堂、仏殿です。

 

次は、基本的には一般参拝者が

出入りすることのない場所です。

基本的にと書いたのは、家族が出家している時や

葬儀の時に出入りが許されることがあるからです。

外から遠くに建物を眺める分には

問題はなさそうです。

 

左上から時計回りに

学校、鐘楼、火葬殿、僧房、経堂です。

 

 

タイのお寺の中にある区域

 

一般参拝者が出入りすることのない場所の前に、

お寺の中には大きく分けて3つの区域があります。

 

ケート・プッタワート(เขต พุทธาวาส)

 

ここは仏事、法事をするための布薩堂や

仏像など信仰のために祀られているものが

ある場所です。

一般の参拝者も出入りしている場所です。

 

ケート・タンマワート(เขต ธรรมาวาส)

 

ここは、徳を積んだり、説法を聞いたり、

パティバッタム(ปฏิบัติธรรม)という、

女性など出家ができない人たちの修行など

僧侶から学びをいただく場所です。

 

そのためのサーラーや大講堂があったり、

お経を保管したりするための経堂(経蔵)などを

建てておく場所です。

 

ケート・サンカワート(เขตสังฆาวาส)

上の写真で、Monk’s Residential Areaと

書かれている区域です。

僧侶や見習い僧が住む区域です。

 

下の地図の様にお寺の地図上で区域を

示している場合もあります。

(青いアンダーラインをいれたところに

 เขตสังฆาวาสと書かれています。)

 

一般的には、グティ(กุฏิ)僧房と

呼ばれている場所です。

 

他にもお寺の中には、”善行を積む場所” などと

サーラーの前に表示している場合もあります。

 

敷地の広いお寺では、地図が置かれている

こともあれば、行先の表示が示されている場合も

あります。

表示をみて、禁止区域に間違って

迷い込むことがないように注意が必要です。

 

ただ、いまだにそのような区域を特定している

お寺もあれば、現在はお堂の使い方にも

お寺によって違いがあるため、区域を

定義することもなくなってきているようです。

 

次からは一般参拝者が基本的には

出入りしない場所を外から眺めます。

 

 

学校

 

タイ語ではローンリアン(โรงเรียน)と

呼ばれるものです。

お寺には、小中学校から、高校、僧侶のための

戒律の学校などが隣接していることがよく

あります。

 

ワット・タートトーン学校です。

 

戒律やパーリ語のための学校がワット・

サームプラヤーの中にありました。

 

ワット・インタラーウィハーン学校です。

 

アユタヤの

ワット・ニウェートタンマプラワットには

見習い僧のための学校と、その上に専門学校も

ありました。

 

入り口がかわいいワット・パトゥムコンカーの

学校。

 

子供たちが遊んでいてかわいかった

ワット・スアンプルー内の学校。

休み時間と授業中?

 

 

経堂(経蔵)

 

タイ語ではホートライ(หอไตร)または

ホートライピタカ(หอไตรปิฎก)と

呼ばれるものです。

日本語では、経堂、経蔵、経楼など言い方が

あるようです。

 

ピタカとは、三蔵(経蔵・律蔵・論蔵)のこと。

仏教の経典の総称で、サンスクリット語では

蔵を意味する言葉pitakaといいます。

 

アリや虫から守るために池の中に

建てられていて、ドアへのアクセスが

梯子だけというところもあります。

ワット・パークナムの経堂です。

 

ワット・アプソンサワンの経堂です。

 

池の中に建ってはいるものの、渡って

建物の周囲のみ、一周できるところもあります。

ワット・スアンプルーの経堂です。

 

ウボンラーチャタニー県の

ワット・トゥンシームアンの経堂です。

 

お堂の様になっていて

中を参拝できるところもあります。

チョンブリー県のワット・チャイモンコンです。

まだできて数年の建物です。

 

3棟続きの経堂はワット・ラカンの経堂です。

小さな門の中を入って行きます。

 

経典の入ったキャビネットがあります。

 

でも、ほとんどのところは人が入るところでは

ありません。

 

個人的に好きなのは、

チェンマイのワット・プラシンの経堂です。

 

 

火葬殿

 

火葬殿を写真に撮ることについて、以前

下の記事で触れたことがありますが、

今回は、お寺の中にある建造物ということで

写真をいくつか載せています。

www.yayoi-thainootera.net

 

タイでは、火葬殿を併設しているお寺が

多いのですが、その場合は横に、

お葬式をするためのサーラーが

あります。

 

以前、韓国の病院でボランティアをしていた時、

大きな病院の中で迷い、霊安室の前へ

出てしまったことがありました。

その横には、葬儀場があって、病院内に

葬儀場が併設してあるということに

とても驚いたことがあります。

 

病院やお寺に火葬殿や葬儀場が併設しているのは、

信仰の違いや宗教的な背景からも影響を受ける、

” 死 ” というもののとらえ方の違いを、

表わしているようにも思えます。

 

タイの火葬殿は、タイ語ではメーン(เมรุ)と

言い、モンドップ型です。

王室のものは、接頭語のプラがついて、

プラ・メーン(พระเมรุ)と言います。

王室の火葬殿について、以前私が書いた記事です。

thai-yayoi-buddhism.hateblo.jp

 

この形は、仏教やヒンドゥー教の世界観である

須弥山からくる、来世を象徴する神峰で、

尖塔があり屋根は層になっていて、

土台部分は正方形になっています。

 

前室部分で僧侶が読経し、続く部屋に炉と煙突が

ついています。

ワット・ドゥシッダラームの火葬殿です。

 

王室のものは、サンダルウッドの木で作り、

その都度こわしますが、一般のものは

お寺でずっと使えるように作られています。

 

後編に続きます。

 

お読みいただきありがとうございました

@yayoi