タイの寺院建築研究 Ⅳ
サワディーカー。
@yayoiです。
今回のタイの寺院建築研究は “ サーラー ” に
ついて注目してみたいと思います。
今回のタイの寺院建築研究シリーズは、
お寺の名称、お寺の伽藍、お寺の門に続いて
第4回目となります。
- サーラーとは...?
- サーラーラーイ(ศาลาราย)
- サーラーカーンプリアン(ศาลาการเปรียญ)
- サーラーバート(ศาลาบาตร)
- サーラーバムペンクソン(ศาลาบำเพ็ญกุศล)
- お寺の外でみかけるサーラー
サーラーとは...?
このサーラー(ศาลา)というタイ語を
日本語に訳すと、あずまや、休憩所です。
特徴は、切妻屋根で壁はなく、床は地上より
約50㎝位高い、風通しよく日陰になるのが
外観的な特徴です。
涼しげなサーラーを見かけました。
お寺の敷地内だけでなく、道路脇、運河脇、
いろいろなところで見かけますが、
お寺の中では、参拝者や巡礼者が休息する場所と
いうだけでなく、仏像が祀られていたり、
壁画が描かれているサーラーもあります。
そして、いくつか用途や種類があります。
主なものは次の4つです。
サーラーラーイ
サーラーバート
サーラーカーンプリアン
サーラーバムペンクソン
サーラーラーイ(ศาลาราย)
礼拝堂や布薩堂(御本堂)の周りに
並んでいる戸建てのサーラーで、参拝者が
座ったり休憩したり、説法を聞いたり
お経を唱えたりすることができる場所です。
ワット・サルット(サムットプラカーン県)で
撮った写真です。
ワット・フワランポーン(バンコク)の
サーラーは、布薩堂(御本堂)を囲んで
四隅にあります。
ワット・ウォラジャンヤワー(バンコク)の
サーラーは布薩堂(御本堂)を囲んで
四隅にあり、納骨堂になっているようです。
サーラーカーンプリアン(ศาลาการเปรียญ)
説法堂、または大講堂というもので、
僧の説法を聞くための場所です。
説法堂は大きいので、たくさんの人が
一同に善行を積むための場になります。
ワット・タムルー
(サムットプラカーン県)の
サーラーカーンプリアンです。
ワット・ポー(バンコク)の
サーラーカーンプリアンは出家修行の場
として使われています。
ワット・ダン(バンコク)では
サーラーカーンプリアンを
建てているようです。
サーラーバート(ศาลาบาตร)
バート(บาตร)とは、托鉢の丸い鉢で、
それを置くためのテーブルがある
長いサーラーのことです。
このようなサーラーはあまり見かける機会は
ないのではないかと思います。
2015年にタイ人の友人の親せきが出家している
お寺を訪れた時に、サーラーの中に
テーブルの上にのった托鉢用の丸い鉢が
並んでいるのを見たことがあります。
この日はカウパンサー(入安居)の行事が
行われていたので、先の説法堂に行事の際の
托鉢用の鉢を並べていたものと思われます。
サーラーバムペンクソン(ศาลาบำเพ็ญกุศล)
バムペンクソンとはタンブン(ทำบุญ)と
同じようなことで、善行を行う、徳を積む、
といった意味です。
このサーラーは、現在では多目的に使われている
サーラーで、僧が説法をしたり、読経したり
徳を積む場として、どのお寺でも比較的
よくみかけるものです。
建物になっているサーラーあり、一見テントの様に
みえるサーラーあり、といったところです。
お堂のように建物になっているサーラーを
いくつかあげてみます。
ワット・ナイヤーン(プーケット)で
撮りました。
中には仏像が祀られています。
ワット・パークナム(トンブリー)の
サーラーです。出入口を出ると
大仏のお顔が見えます。
ワット・タートゥトーンのサーラーです。
ここは僧侶に善行を行うことで読経を
してもらう場所として使用されています。
一方、お寺の中で最もよく見かけるのは
お堂の前に設置されたサーラーです。
テントのような簡易なサーラーもよく見かけます。
お堂の中で、お線香をたいたり、ろうそくに
火をつけるのが許されていないところや
お堂に入れない場合、
このようなサーラーが設置されていることが
多いです。
ワット・ナープラメーン(アユタヤ)で
撮りました。
このサーラーの後ろのお堂には
ドヴァラヴァティー様式の仏像が
安置されています。
敷地の大きなワット・パリワート
(バンコク)は御本堂がある敷地の外に
大きなサーラーがあります。
ワット・カンヤラーナミット(トンブリー)
にも大仏のお堂の前にサーラーがあります。
この後ろのお堂に安置されている大仏です。
ワット・マハーブット(バンコク)は
御本堂を建てているので、
大きなサーラーが隣にあって、たくさん仏像や
ヒンドゥー教の神様などが祀られています。
ワット・カオシーチャンのサーラーは山の岩肌に
描かれたブッダの前に設置されています。
多目的という意味では、
ワット・ベンチャマポピット
に入ってすぐにあるチケット売場は
サーラーです。
もちろん休憩所としてちょっと座れるのも
サーラーです。
ワット・ベンチャマポピットの
寺院内の運河脇にあるサーラーです。
ワット・ポーのサーラーです。
ワット・スティワララームにあった
サーラーです。
お寺の駐車場わきにもよくこんな簡易な
サーラーを見かけます。
お寺の船着場にもサーラーを見かけます。
お寺の船着場は門も兼ねています。
お寺の外でみかけるサーラー
タイではサーラ―はお寺だけでなく、道路脇など
でも、人々が休憩している姿をよく見かけます。
ホテルやレストラン、公園などの
敷地内でもサーラーを見かけます。
博物館にもあります。
バンコク国立博物館にはサーラーが2つあります。
サーラーサムラーンムッカマート
サーラーロンソン
下の2つは、一見サーラーの様に見えますが、
王宮用建造物です。
プラティナン・マンタラ―ピセーク
プラティナン・タッサナイ
(こちらは2009年に撮影したもので、
もう博物館にはありません)
もちろん、ビーチにもあります。
プーケットのビーチでもみかけました。
10年以上前に撮影したものです。
今回の記事の参考書籍です。
『สารานุกรมไทยสำหรับเยาวชน
เล่ม 19 วัดไทย』
お読みいただきありがとうございました。
@yayoi