タイの寺院建築研究 Ⅲ
サワディーカー。
@yayoiです。
タイの寺院建築研究の第1回目は
お寺の " 名称 " に注目。
第2回目は " 伽藍 " に注目してみました。
タイの寺院建築研究の第3回目は
タイ寺院の門に注目してみたいと思います。
タイでは道路を歩いている時や、車で通りかかるときに
よく目にするお寺の門。
とにかく大きく高くがっちりとした門なので
とても目をひきます。
通りがかりに門をみて、その中にあるお寺に
入ってみたいと思うことがよくあるのですが、
一口に門といってもいろいろな作りがあります。
- お寺の門をくぐりぬけるということ
- オーソドックスなタイプの門
- 外壁の一部にある門
- 道路にアーチ、さらに門!
- 仏像やお坊さんが施されている門
- きれいで個性的なデザインの門
- 地方別にみる門
- 船着場がお寺の門の役割をはたす!
お寺の門をくぐりぬけるということ
タイでは、門はプラトゥー(ประตู)といい、
お寺の門は、スムコーン(ซื้มโขง)とか、
プラトゥ―コーン ( ประตูโขง)といわれ、
高さや厚みがある門が建てられています。
スムとはアーチのこと、コーンは境界や領域などを
表す言葉ですが、門には神聖な場所と外界を分け、
悪霊などが入り込まないようにする役割が
あります。
日本では寺院の門は、一般的に山門、寺門(じもん)と
言われ、三門という言葉もあるのですが、
これらの言葉は、もとは、お寺は山に建てられ、
山号をつけたため、山門といえば、天台宗総本山の
比叡山延暦寺、寺門といえば天台寺門宗の総本山である
三井寺を表しました。
一方、三門とは、禅宗寺院の仏殿にある門や
南都六宗寺院の中門(本堂周りの門などお寺の
敷地のなかにある内門)を表すそうですが、
三門とは仏教の到達点である解脱に向って
通るべき門、三解脱門(空、無相、無願)を
表す言葉でもあります。
古代インドでは天国、神廟などと外界を
わけるのに大きなアーチを作って出入りしていた
ことがあったようです。
タイでは、門は、ランナー時代は
東、北、南の三か所に設置されていたようですが、
現在では、必ずしもそうではなく、寺院によって
数も向きも違います。
お寺には、本堂周りの門などお寺の敷地のなかにある
” 内門 ” のあるお寺も多いのですが、この内門に関しては
またお堂周りの研究のときにまとめることにして、
今回は、道路や川など、お寺の敷地の外と中を
わけるための門を中心に集めてみました。
オーソドックスなタイプの門
最もよく見かけるのは、この形の門だと思います。
これは、BTSのエカマイ駅の前にある
ワット・タートゥトーンというお寺の門ですが、
このお寺はスクンビット通りに面していて、
門が2か所に取り付けられています。
もう1か所にも全く同じ門があります。
横からみると厚みのある門です。
このお寺の門の側面の部分には仏像が施されています。
どこのお寺でも三角の部分にお寺の紋章や法輪、
または図柄が施されていたり、
仏像やヒンドゥー教の神々や
お坊さんが施されている門、
彫りものがある門…と様々です。
そして、その図柄の下には道路側から見ると
普通はお寺の名前が書かれています。
お寺の敷地内から見える裏側にはお寺の名前ではなく
言葉などがかかれているお寺もあります。
(来てよし、行ってよし、運よし、みなさま)
しかし、この形の門はバンコクから遠く離れた
チェンマイやチェンラーイ、アユタヤ、ロップリー
などで、私が今まで行ったことのあるお寺では
見かけたことがありません。
門の形は、お寺の建てられた時代や歴史によっても
違うと思うし、お寺ができた後の時代になって
道路ができてからは、道路からわかりやすいように
建てられた門も多いと思います。
このタイプの門はかなり高さがあるので、
電線より高く、道路側から見ようとしても電線が
邪魔をして、美しい図柄や肝心のお寺の名前が
見えないこともよくあります。
(仏像の前に電線が... 道路側とくぐったのとは形が違う
仏像が施されているので、よく見えず残念です。)
くぐってから撮りました。
バンコクやその周辺の県でよく見かける、この
オーソドックスなタイプの門を集めてみました。
基本的に表裏同じだと思いますが、
たまに道路側とお寺の敷地内から見ると違う
デザインの門もあります。
道路側から見た門には仏像が。
門をくぐってお寺の敷地内からみると、動物が。
道路側から見た門。
門をくぐってお寺の敷地内からみた門。
門が数か所にあって、デザインが違う門。
同じく門が数か所にあって、デザインが違う門。
まれに門の下は閉めて、他の出入口から
出入りさせるお寺もあります。
外壁の一部にある門
次によく見かけるタイプの門は、
高さはなく、外壁の一部に門があるタイプです。
ワット・ポーやワット・アルンもこのタイプです。
ワット・アルンは、船でワット・ポー側から
渡ることが多いのですが、
道路側に行くとこのような門があります。
ワット・ポーの美しい門。
道路側。
くぐったところ。
バンコクやその周辺でよく見かける、
外壁の一部に門があるタイプを集めてみました。
このタイプの門にも、道路側とお寺の敷地内から見ると
デザインが違う門がありました。
道路側。
門をくぐると… ラーフ―(月食を食べる鬼)が
施されていました。
道路にアーチ、さらに門!
お寺の近くの大通りにアーチ門や門があり、
そこから奥へ入って行くと、さらにお寺の門。
そんなお寺もあります。
ワット・カチョンシリ
ワット・サムパッタウォン
ワット・チャクラワード
ワット・サームプラヤー
このお寺は、お堂周りに内門があるお寺で、
敷地を区切るための門はシンプル。
ちょっと味気ないので、内門も載せます。
ワット・テッパヤワーリーウィハーン
ワット・カンラヤナーミット
次は少しデザインが凝っているというか、
特徴のあるデザインの門を集めています。
仏像やお坊さんが施されている門
下の写真の様に、門の上の方に仏像やヒンドゥー教の神々、
お坊さんなどが施されている門もかなりみかけます。
このお寺は、前を通りかかり、門をみて
入ってみたくなったお寺の一つです。
表も裏も同じデザインですが、道路側は電線が
すごいことになっています。
一歩、門をくぐり寺院内に入れば、電線や世間の喧騒から
離れ、気持ちが浄化される...を門が示している。
そんな気がします。
ワット・ラカンもいつも船でアプローチしていましたが
ある日、車で行ってみたら、こんな素晴らしい門が!
このお寺の門にはヒンドゥー教の神々がいるのですが、
神々の目の前に道路が走っていて、正面からは
神々の姿が全く見られない門。
そしてついに出逢った!ガネーシャの門。
博物館の展示を見ているように、たくさんの
仏像が祀られている門。
今回のカバー写真にしたワット・サンパシウの門。
門に施されているわけではないけれど
門の中央に仏像が鎮座しています。
ほかにもまだまだありました。
きれいで個性的なデザインの門
門だけで何枚も写真を撮りたくなるような
目をひく門。
門を見ただけでこのお寺のお堂を見たいと
思わせるような門。
そんな門を集めてみました。
ここはお寺の名前もいれました。
(ワット・パーシー バンコク)
(ワット・シーサトーン ナコンパトム県)
(ワット・スワンプル― バンコク)
(ワット・フワランポーン バンコク)
(ワット・サパーン バンコク)
(ワット・マハータートワチラモンコン パンガー県)
(ワット・アマリンタラーラーム バンコク)
(ワット・スワン トンブリー)
(ワット・ポーメーンクンナラーム バンコク)
(ワット・ヤーンナーワー バンコク)
(ワット・トゥンセティ― バンコク)
地方別にみる門
今まで分けた中には属さない、
私が今まで行ったお寺の門を地方別に
並べてみました。
チェンマイ、チェンラーイ、アユタヤ辺りは
門といっても煉瓦造りの門やアーチであったり、
入り口にお寺の標識があるだけで門らしい門はないお寺
も多く、さまざまなので、門だけを集めてみました。
チェンマイ県の門
チェンラーイ県の門
アユタヤ・ロップリー県の門
スパンブリー・ナコンパトム県の門
ナコンパトム県のプラパトムジェーディーなどは
道路に面して門があり、駐車場があり、
そこからさらに門があります。
スパンブリー県のワット・パイローンウアなどは
敷地が広いのでいくつも門があります。
ノンタブリー県の門
チョンブリー県の門
チャチュンサオ県の門
サムットプラカーン県の門
その他の地方の門
最後に、川に面している船着場が門の役割を
しているところを並べました。
船着場がお寺の門の役割をはたす!
船が交通の中心だった時代、または現在でも船を
交通の手段に使うタイでは、船着場がお寺の門の
役割を果たしていることもあります。
中には現在は使われていないものありますが、
タイらしい風景にいつも心がなごみます。
今回の記事は、
Pratoolee ac.thのサイトや
岩波仏教辞典を参考に書きました。
2020年10月末までに行ったお寺の門を
掲載しましたが、これからも少しずつ
追加していきたいと思います。
最後におまけにバンコクにある
ヒンドゥー教寺院の門!
お読みいただきありがとうございました。
@yayoi